足元が茜色に染まったので 顔をあげると 一番星が 瞬きはじめていた。
――――今夜は、晴天なんだ
ココで見上げる天の川は、現世で見るのと同じなのだろうか?
星が 少しづつ数を増してゆく澄んだ夜空とは逆に、あたしの心は もやもやとわだかまりが湧き出し どんどん淀んでゆくようで・・・・
こんな自分は嫌い。
こんな風に 色々考えちゃうから、七夕なんか 大嫌い。
随分歩いたようで、いつか 辺ぴな路地に辿りついていた。
―――――瀞霊廷内に こんなトコあるんだ。
薄暗い袋小路を見つけて 入るとその行き止まりに腰をおろした。
俯いて 闇雲に歩いたから どこをどう通ってココまで来たのか 覚えていない。
この辺りは、あたしの巡廻コースに含まれてないから、帰り道がわからなくなっていた。
けど、
ま いっか。
どっちにしろ、瀞霊廷内だ。
あたしは、どこへも行けやしない。
「何してんだ、こんなとこで?」
唐突に 声をかけられて 少し驚いた。
袋小路の入り口に背の高い男が立っているのはわかったが、逆光で シルエットしかわからない。
―――――あの、パイナップル頭は・・・
「お前は、行かねぇのか?」
こっちへ近づくにつれ、少しずつ 姿がはっきりしてきた。
――――恋次だ。
「お前、なんも聞いてねぇの?」
――――やだな、かっこ悪いとこ見られちゃった。
「え・・・・っと・・・」
さっきまで、物思いにふけってたから 言葉が うまく口にのぼらない。
「”星祭”だよ。男も女もなーんかそわそわしててよ。俺は、あぁゆうの苦手なんだ。」
恋次が 直ぐ傍に来た。
「乱菊サンから、なんも聞かされてねぇのか、おい?それとも 俺とおんなじで、あぁゆうの苦手なのか?」
恋次は、座ろうとしない。
仕方がないから立ち上がった。
彼は、背が高いから 立ち上がってもまだ見上げる。
「うん、教えてもらったよ。」
「じゃ、なんでこんなトコに座り込んでんだ?」
「そ、それは・・・」
恋次が あたしから視線を外さない。
―――――困ったな。
うまく誤魔化さなきゃ――――
「その・・・やちるちゃんが―――――」
「やちる?・・・草鹿やちるか?十一番隊副隊長の?」
「そ、そうっ、やちるちゃんと かくれんぼ。」
「はぁ〜?マジで?」
「う、うん。マジ。本気の本気でマジ。」
「草鹿副隊長なら、笹飾りの周りで 異様に はしゃいでたぜ?」
「そうなの?」
「ああ、ありゃ もう 忘れちまってるぜ。」
「そう・・だったら、もう帰ろうかな・・」
袋小路から出ようとするあたしの腕を 恋次が掴んだ。
「な、なに?」
「、下手なウソつくなよ。」
「え?ウソなんて・・・・」
「何があった?」
恋次が 真剣な顔で 覘きこむ。
「別に、何も・・・」
あたしは、なぜか視線を逸らさずには居られない。
「俺は、お前に会いに十番隊へ行った。そしたら 乱菊サンが、ちょっと前に お前が出て行ったって―――――」
そう言うと、恋次は あたしを その大きな身体で 抱きすくめてしまった。
「心配したんだぞ!また、あいつらに拉致られたんじゃねぇかって。」 「ちょ、ちょっと、恋次!」
「お前の霊圧は不安定で、ここじゃ紛れちまって・・・見つけるのに、どれだけ探し回ったと・・・」 「わ、わかったから、離してっ」
「いや、はなさねぇ!、俺は お前に言いたいことがあって探してたんだ。だから、今 ココで言う。」
恋次の腕に なお力がかかる。
「恋次、苦しいっ!離してって」 「はなさねぇつってんだ!おとなしく俺の話を聞け!」
「もう、なんなんだよ?!」
恋次の胸に押し付けられていた頭を グイッと動かして なんとか見上げると、すぐそこに恋次の顔があった。
「話って、なに? この体勢で 聞かなきゃダメ?」
今度は、恋次が戸惑う番だった。
「あ、いや別に・・」
「だったら、離して。」
「いや、やっぱ、このままで・・・」
「ふぅ〜、しょうがないなぁ。じゃ、このままでいいから 少し腕の力を抜いてくんない?」
「お、おう。」
少し緩めてくれたので、あたしは身じろぎしてから 真っ直ぐ恋次を見上げる。
「どうぞ。」
「お、おう・・・・・」
恋次が固まってしまったようだった。
「どうしたの?話があるんじゃ?」
「・・・お、お、俺は・・・お前が、す・・・・・す・・・・す・・」
―――――す?・・・巣?・・・・酢?
「好きだーっっ!!」
あんまり大きな声で叫ぶから、鼓膜が痛くて、言葉の意味を理解するのに 時間がかかった。
「・・・・・・・お、お前は どうなんだよ?」
「どうって?」
「だから、俺のコト どう思ってンだ?」
すっかり 日が落ちて 今 恋次が どんな顔して言ってるのか見えない。
「どうしたの、急に?」
「急なんかじゃねぇよ!俺は 現世でお前にあった時から・・・」
「恋次・・・?」
「こっちに来るって決まった時ゃ、嬉しかった。毎日 会えて、飯だって 二人で食いに行けるってな。けど、お前 十番隊に配属されて いつも日番谷隊長が傍に居て、たまにひとりで居るのを見かけても 今度は俺が 忙しくてよ。俺・・・・・」
「もしかして・・・告ってる?」
「っ、てめっ、今まで 何聞いてやがった? お、俺が こんなに 汗かいて大真面目に言ってんのに!!」
「だって、恋次が好きなのは ルキアさんでしょ?あたしなんかに構ってたらダメじゃん。七夕だからって、血迷ってたら ルキアさんにふられちゃうよ。ほらほら、さっさと 現世に会いに行きな。副隊長なんだから、こっそり現世へ行くくらい わけないんでしょ?」
「ルキアは 幼馴染だ。あいつを どうこうしようって気は おこらねぇ。」
「そうなの?幼馴染って・・・」
「妹みたいなもんだからな。普通、手ぇ出す気にゃならんだろ?」
「そうかな。妹でも――――」 「話を逸らすな。」
あたしは、ひと気のない暗闇で ”抱き合ってる”不自然さにようやく思い当たって焦った。
「そ、そういや キレイに星が出たねー。みんな、笹飾りしてるって言ってたよね?そろそろ みんなのトコ、行こっか。」
恋次が 腕をほどいたから てっきり みんなのトコへ連れてってくれるのかと思ったら、そうじゃなかった。
「・・・・・」
左手を そっと あたしの腰にまわして引き寄せ、右手は 優しく あたしのアゴに添えられて・・・・・・・・・
―――――ちょ、ちょ、ちょっと待った!!!!
こ、コレって、
このシチュエーションは ヤバイって!!
柚羽です。
「恋次に 告られて、フル」ってネタを ずっと暖めてたので、待ちくたびれた恋次が 出てきちゃいました。
そしたら、今度は 帰らないし・・・
強引だし・・・・
後編は 冬獅郎、出てきます!そして 多分 甘い・・・・・・・・・のか?
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