CONSTANT CHANGE〜生々流転〜


 

 11.SWORD OF THE CONSTANT CHANGE 





八咫鏡(ヤタノカガミ)・・・・
いわゆる  天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ≒草薙の剣クサナギノツルギ) 八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)とともに 三種の神器の一つにあたる。
記紀神話によると、天照大神が天の岩戸に隠れた際、石凝姥命が作った鏡とされている。
(※三種の神器とは、天孫降臨の時に、天照大神から授けられたとする鏡・剣・玉を指し、日本の歴代天皇が継承してきた三種の宝物で、神の依代を意味し、『古事記』では「天照大御神(あまてらすおおみかみ)が日子番能邇邇藝命(ひこほのににぎのみこと)に“八尺の勾玉(やさかのまがたま)、八咫鏡(ヤタノカガミ)、草薙(くさなぎの)剣”を授けた。」と記されている。)











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「その八咫鏡(ヤタノカガミ)なんスけど・・・・現在は 伊勢神宮に御神体として御桶代と呼ばれる入れ物に入れて祀られていまス。
ですが・・・それを任せれている神職、そして皇族でさえ 目にすることは赦されていないンすよ。
ですから、式年遷宮の際に御桶代と呼ばれる入れ物はご神体として遷されているが、はたしてそこに本当に八咫鏡が存在しているかどうかは誰も知らないし それがどのようなモノであるかも どこにも記されていない。」


そこで 浦原の目がきらりと光った。


「鏡と呼ばれているからと言って 我々の考える形状をしているとは 限らないわけッス。、
また一説に因ると 土器に水を入れたものに顔を映したのが 鏡の起源だとも伝えられていまス。」
「・・・・っつーことは、神の依代である八咫鏡が 水で出来た斬魄刀であっても 不思議じゃないってことッスか?」
「ご名答! 阿散井さんにしては 理解が早かったっすね。」
「それ、どういう意味っすか?」


少なからずムッとして聞き返す阿散井に 浦原は愛用の扇子を広げて笑った。


「いやですね〜、確認する必要ないじゃないっすかぁ。そのままの意味っすよ♪」


かりにも六番隊の副隊長を任されている自分を そこまで馬鹿にされて黙っていられるわけがなかったが、この時ばかりは 先遣隊として現世に送られたものの逗留先のメドがたたず、浦原商店に居候させてもらう身なので 反論できる立場になかった。






浦原商店地下の勉強部屋に降り立った阿散井は、先ほどのやり取りを思い出して むりやり押さえ込んだ腹の虫が再び暴れ出しそうだった。
そこで目の前に広がる荒野を見渡して気を逸らそうとした。


「この場所のどこかに そんなすげえ斬魄刀を持った奴が潜んでいるんだな。」


ひとところに留まらず、映すものを反転させ打ち消し流転させる 神の力を宿した無敵の斬魄刀“碧刃八咫鏡(あおのやいばやたのかがみ)”。
神を味方につけたツワモノと一太刀交えたくて 地下勉強部屋にやってきた阿散井だった。


「どんな 野郎なんだ?やっぱ、更木隊長みたいな――――」


浦原は 微笑むばかりで、どんな人物であるか一言も説明しなかった。
阿散井は、まだ見ぬ猛者を思い浮かべて 武者震いした。
いきなり斬りつけられることはないと思いはしたが、念には念のため用心しながら 歩を進めていると 遠くに仮設住宅と湯煙が見えた。


「あそこかっ?」


霊圧を探ってみたが、さほど強くは無かった。


「なんだ・・・・浦原サンが脅かすから どれほどの奴かと思ったが たいしたことなさそうだ。」


阿散井は 冷や汗を拭うと タンっと地を蹴った。




「よぉっ! 碧刃八咫鏡の使い手ってーのは てめぇか?」


地下勉強部屋温泉に躊躇いなく踏み込んだ阿散井の声が 湯面に響いた。
湯煙の中、ハッと振り向いたのは 小柄な少女で 阿散井が想像していたような猛者は見当たらない。


「☆+@#♭◇%$○ж▽×д□$=*△――― !!!」  「ぅわ熱っつっつっつっつっ!!」


阿散井は熱湯を放射を受けて後方へ はじき飛ばされた。


「ウルルっ、ウルルーっ!!」


阿散井の姿が見えなくなったのを確認したは素早くバスタオルを身にまとって ウルルの姿を探した。


「―――――さん?」
「ウルルっ、大丈夫? 酷い目にあってない?」
「?」


すっと現れたウルルは、いつもと変わらぬ様子だった。


「今、赤いパイナップル頭の変なのが来たんだけど、ウルルは 逢ってないの?」


は入浴する時は、浦原が覘きに来れないように地下室の入り口の見張りをウルルに 頼んでいたのだった。


「――――居候さんです。」
「え? 居候?」


ウルルが こくりと頷いた。


「そう言えば、冬獅郎みたいに黒い着物着てたけど・・・・もしかして、死神?」


またも ウルルが小さくこくりとうなずく。 


「だって 赤いツンツン毛で変な眉で――――」 「変な眉じゃねぇ! 刺青だっ。」


赤い髪の毛先から 雫を落としながら 阿散井が近づいてきた。


「来んなっ、変態! 痴漢っ! 覘き魔ーっ!!」


は、片手でバスタオルがずり落ちないように抑えながら もう片方の手で小石を拾って阿散井に投げつけた。


「ま、まて こらっ、俺は 覘き目的に来たんじゃねぇっ。 生々流転の力を宿したっつぅ斬魄刀の、碧刃八咫鏡の使い手に逢いに来ただけだ!」


阿散井は 小石を除けつつ、当りそうなのは手で払いつつ懸命に弁明した。


「そうだとしても 見たンでしょーっ//////?!」


阿散井の脳裏に 湯煙にうっすら見えたうなじから肩への滑らかなラインがよぎって ごくりと唾を飲み込んだ。


「あーっ、やっぱり見たんだーっ! バカーっ!!」


は それまでよりも大きめの石を勢いつけて投げ出した。


「うわっ、待てって! あ、謝る、謝るから石を投げるのはやめろーっ。」


と、突如 阿散井ととの間に氷柱が突き刺さった。


「ふぅ〜、助かったぁ。」


肩をなでおろした阿散井の面前に降り立ったのは 日番谷だった。


「――――、着物を身につけてこい。」


日番谷がに背を向けたまま氷柱ごしに声をかけた。 
ふんっと鼻息で答えてくるっと向きを変え、仮設住宅に入ったのあとを追ってウルルも家屋の中に入った。




は タンス代わりのコンテナケースを開けて着替えを取り出し、身につけ始めた。


「――――あのさ、ココって他にも出入り口があるの?」
「ううん。」
「だったらさ、ウルルってば 見張っててくれてなかったの?」
「ううん。」
「じゃ、なんで 赤パインが入ってこれたわけ?」


浦原商店と書かれたTシャツに袖を通しながら ウルルをみると困ったように首を傾げている。


「――――店長じゃなかったから。」
「あ! ああああああ・・・・・」


は脱力して 畳に突っ伏した。


「『絶対、なにがあっても店長は通すな』・・・・・って・・・・」
「うん・・・・あたし、たしかに そう言ったよ・・・・」






氷柱を背に立つ日番谷は、いつにもまして不機嫌そうだった。


「阿散井・・・・・ここに何の用だ?。」


阿散井は日番谷の気迫に圧倒されながらも なんとか口を開いた。


「う、浦原さんから、すげぇ斬魄刀の使い手が ココに居を構えてるって聞いたンすよ。それで 手合わせしてもらえねーかと・・・」
「浦原が 話したのか?」
「そうっす。バウント戦の時みてーに 世話になりてーって言ったら、スゴイ奴が潜んでるから挨拶しといたらどうかって・・・・」
「浦原の野郎・・・・」


日番谷の眉間の皴が深くなる。


「あ・・・・あの・・・日番谷隊長・・・・?」
「あいつのコトは他言無用だ。わけあって ソウルソサエティに報告していない。」
「そ、それって どういうコトっすか?――――」
「今は 訊くな。後で話す。」


圧倒的な力を持ち、世界の事象に影響を及ぼしかねない生々流転の力を宿した、いわば神代ともいえる斬魄刀は 存在そのものが脅威である。
本来ならば 瀞霊廷内に保管封印するか 王の宝物殿に納められるべき物である。
であるにも係わらず、日番谷は一存で 内密にしようとしている。
コトの重大さに阿散井の背に冷や汗が流れた。


「で、ですが、日番谷隊長っ――――ぶへっ!」


阿散井の言葉は 降ってきたダイナマイトボディ2体によって 遮られた。


「隊長、み〜っけ♪ こんなところで 何してんですかぁ?」  「ふぇ〜ん、鼻ぶつけちゃったよぉ。」
「松本・・・・と・・・井上?」
「隊長ったら、急に血相変えて飛び出してくから 何が起こったのかと思って心配してついてきましたー」
「それで どうして井上が一緒なんだ?」


明らかに怒気を含んだ声であるのに松本は一向に 堪えた様子がない。


「ご、ごめんね 冬獅郎くん。いつも冷静なのに 様子が変だったから 心配だったからで、面白そうだからこっそり後をつけてみようとか そういうのじゃないんだよ。えっと・・・ほら、もし なんかあって怪我とかしてたら私がいた方がいいからって 乱菊さんが 一緒に行こうって・・・その・・・」 
「好奇心からついてきたんだな?」
「いえ、違います、隊長。隊長の背中をお守りするのが 副長の務めです!」


真面目くさって応える乱菊の様子は 面白がっているようにしか見えない。


「あのよぉ、どうでもいいけど、そろそろどいてくれ・・・・」


松本と織姫の尻に敷かれた阿散井が 呻いた。


「わわっ、ごめんね 恋次くん」 「あら、恋次。 あんた、そんなところで何やってんの?」


慌てて飛びのいた織姫とは対照的に 松本の返答は白々しかった。













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