突然の その来客に 十番隊隊舎に緊張が 走った。
ドタドタと廊下を駆ける音がして 執務室のドアが 勢いよく開く。
「隊長ー、大変ですー!!」
「なんだ、騒々しいぞ。死神席官を拝命した者は、いついかなる時も冷静に――――」 「邪魔するぜ。」
慌てて駆け込んだ為に 日番谷隊長からお小言を拝聴していた隊士を 押しのけて姿を見せたのは、多分 ここで会うのは 初めての人物。
「よぉ。」
「更木!」
ここ最近、すっかり現世担当のイメージが定着してしまった日番谷は
以前にも増して 忙しくなり(公私ともに・・・)、そのせいで 事務処理が 益々滞ることとなり、机に積まれた書類の山も 新記録を達成していた。
加えて 彼の副官は サボりの常習犯。
『なぜ こんな”奴”が 副官なんだ?』と 人事を恨まないわけではなかったが、ある面では優秀なので 適任なのかとも思う。
「強ぇ奴が入ったんだってな。」
―――――そういえば、こいつの隊に まともに仕事をこなすような者は 思い当たらないが いったい どうなってるんだ?
「どいつだ?」
「あのね、あのね ”パチンコ玉”が 言ってたよ。」
更木の肩に 手乗りインコのようにくっついている やちるが、口を挟んだ。
「すっごく 強いって! でね、剣ちゃんも勝負したいんだって。」
どう考えても、この副官が 仕事を こなしているとは思えない。
「出せよ、日番谷。いるんだろ? ここに。」
「そんな奴は いねぇ。でたらめだ。帰ってくれ。」
やちるが 剣八の背中から ぴょーんと飛んで 書きかけの書類の上に着地した。
「シロちゃんのウソつきー! ウソついたら、地獄で針千本飲まされるんだよぉ〜。」
「―――――松本、このちっこいのを どけろ。」
珍しく(勿論、しぶしぶ)仕事を こなしていた乱菊が、コレ幸いと 頬を緩ませた。
「かいちょー、チョコ食べませんかぁ?コアラのマーチとチロルチョコもありますよぉ。」
乱菊が戸棚から プチチョコをどさっと出して見せ すんなり やちるを吊り上げる。
代わりに 更木が 一歩前に出て 日番谷を威嚇した。
「一角の話じゃ、現世のバドなんとかっつぅ―――――」 「バドミントン?!」
給湯室でお茶を煎れていたが 戻ってきた。
「ああ、なんかそういう名の勝負だ。それが 滅法 強ぇらしい。」
「もしかしてっ、バドミントンの試合やるんですかっ?」
バドミントンと聞けば 黙ってられないが 湯飲みを乗せたお盆を手に持ったまま 身を乗り出してきたので、日番谷は眉根を寄せた。
やちるに 現世のプチチョコを披露しながらも、隊長同士の話の成り行きに 耳をダンボにして聞いていた乱菊が 察して 声をかける。
「、そのお茶 隊長たちにあげて、私と草鹿女性死神協会会長に アイスミルクティー 煎れてきてくれない?」
――――――ナイス、松本。時間稼げるぜ。
「了解でーす。」
が 空になったお盆を手に くるっと向きを変えようとしたのを 更木がとめた。
「てめぇ、バドなんとかってー勝負、知ってるみてーだな。」
「バドミントンです。 それに、あたしは
。」
修羅の道をゆく更木の圧倒的威圧を物ともしない 真っ直ぐで澄んだ瞳が そこにあった。
「っつーのか?」
「ええ。」
更木は嬉しそうに にやっと笑った。
「更木剣八だ。俺と勝負しろ。」
「更木!」
日番谷が 思わず立ち上がった。
「真剣じゃねぇ、そのバドなんとかってーのの勝負だ。」
「し、しかし・・・・。」
日番谷は 心配で ちらっと を見たが 当の本人は バドミントンができるかもしれないという期待のこもった熱い視線を更木に向けている。
日番谷の胸が、ちりっと 痛んだ。
「前の勝負で、一角が お前ぇの得物を 壊したんだってな。約束どおり上物を 手に入れてきてるぜ。」
「ホント?!」
が、晴々した笑顔を見せる。
――――――くそっ、そんな顔 更木に向けんな!
日番谷は 奥歯を噛み締めずにいられなかった。
「決まりだな。」
更木が 踵を返して歩きだす。
「すいません、隊長!ちょっと 交流試合してきまーす♪」
言うが早いが は ぱたぱたと 更木の後を追っていった。
「あー、私も帰るぅ〜!」
口の周りに チョコをべったりくっつけたやちるも 駆けていった。
「―――――隊長ぉ?」
「松本・・・・何も言うな・・・・」
日番谷は 気が抜けて ドサッと倒れるように 椅子に座った。
――――――あんな嬉しそうな顔を 見せられて、『行くな』って言えるわけねぇだろ。
日番谷は、やきもきさせられるが のそういう自由奔放なところにも 惹かれていた。

後日、更木は 再び 前触れ無く日番谷のもとを訪れた。
「あいつを 俺ンとこへくれ。」
「なに?!」
「だ。 あいつは いい女になるぜ。」
「お断りだ!」日番谷は 思わず声を荒げていた。
バドミントン勝負が出来ることで は 十一番隊へ遊びに行くことが多くなった。
彼女には もともと たいした仕事も割り当てられていないので 暇を持て余していたのは 事実で、遊びに行く余裕は充分ある。
それだけでも 日番谷には 面白くない事態。
「末席の異動なんざ、簡単なもんだ。」
「だめだっつってんだろ!!」日番谷は 身を乗り出して 更木をキッと睨みつける。
一方、更木は そんな日番谷の様子など鼻にもかけず にやりと笑った。
「まぁ、いいや。隊に迎えるかどうかなんて たいしたこっちゃねぇ。」
更木は、ふてぶてしく その大きな身体を翻して 背中を向ける。
「――――――狙った獲物は 逃がさねぇぜ。」
そう言い捨てると、十番隊執務室を 去っていった。
「隊長ぉ・・・・?」
「居たのか・・・・・・松本・・・・」
長椅子で 昼寝を決め込んでいた乱菊が 顔を覗かせた。
「そろそろ 唾つけとかなきゃダメですよ。」
「つ、唾って!?」
「”恋のイロハ”ですよぉ。 あれぇ、隊長 知らないんですかぁ? だったら 私が 手取り足取り お教えしますよぉ♪」
「要らんっ!」
えっと・・・
一角と弓親を出したら、剣八も出たがったんですよ。
で、ちょうど たまには ヤキモチ焼いて欲しいなーなんて 思ってたんで・・・・
冬獅郎視点にしてみたら ヒロイン、出番少くなっちゃった。
――――――冬獅郎、この後 どうすんだろ???
柚羽は 不器用で経験浅そうなのが タイプだから・・・
乱菊サンの 手ほどき 必要だよね?
どうすんのかな?
(書いてる本人が 見当つかないや。生々しいの苦手だし・・・)
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