聖なる夜は傍にいて/後編






は、一角の凄みに怯むどころか大いにムカついた。


「このっ、バカハゲ!放せっ!!」
「言ったな、じゃじゃ馬!」
「こんなのデートじゃないじゃん!」
「オレは、デートに誘ってなんかねーよ。逢引だっつったろ?」


暴れるを取り押さえるのに必死で、一角は自室の襖が開けられない。


「観念して、ちったぁおとなしく――――」 「できるかっ! デリカシーのない奴、サイテー!!」


は 最終手段に訴えた。



ドカッ☆



「うぐっ・・・・・」


一角は 呻いてその場にうずくまる。
つまり、膝蹴りが股間にHITしたわけで・・・・・


「あたしのコト、なめてかかってたろ? ざまーみろ! ふんっ」


くるりと背を向けた両足首をつかまれた。


「きゃ!」 「逃がさねぇ〜〜〜」
「しつこいよ!」


手で剥ぎ取ろうとして、かがんだところでグイッとひっぱられてバランスを崩した。


「うわっ」


倒れていくを 受け止めた腕があった。


「一角、見苦しいよ!」
「弓親さん?!」
ちゃん、大丈夫?」
「うん、ありがと。」
「弓親・・・・」
「驚いたよ。まさか、一角がそこまで余裕ないとは・・・」
「おめーは、どうなんだよ?」
「一角・・・・気持ちは押し付けるもんじゃないよ。受け止めなきゃ。」
「ちっ。」


一角は地に伏せ、そっぽを向いた。


「さ、ちゃん 行こう。」


の手をとって歩き出そうとした弓親の目の前に、しゅっと日番谷が現れた。


「オレの執務室を汚したのは貴様らか?」


静かに怒っている。


「ひ、日番谷隊長、いったいなんの・・・・」
「扉のあたりにバケツが転がって、汚ねー水が広がってた。」
「あ・・・・」


一角がを連れ去ったのに気付いた弓親が慌ててひっくり返したのだ。
現に 死覇装の袴の裾が濡れている。


「てめーだな?綾瀬川。」
「あ、、、あ、あれは・・・」  「くっくっくっくっく」


這いつくばった状態の一角が 含み笑う。


「机の上の書類に雑巾を乗せたのは?」


ジロリと足元の一角を睨んだ。
雑巾にかすかに残る霊圧が誰のモノであるか、わかっていて 訊いている。


「お、、、おれです・・・・」
「落とし前はつけてくれるんだろうな?」
「冬獅郎、あんた ばかぁ?」
「なっっ!」
「一角も弓親も十番隊じゃないのに手伝ってくれたんだよ? 勝手言ってんじゃないよ! あたしが全部片すから、二人に無茶な命令下すなってーの!」
「おい、こらっ! てめぇ、仮にも隊長のオレに向かって――――」 「なにが隊長よ!なーんにも分かってないじゃん! ばかあ!!」
「そう何度も バカバカ言うな!」
「バカだから、バカって言ってンの! バカにバカって言って悪い?」

「お前なぁ、いい加減にしねーと――――」
「バカじゃ物足りないなら、チビバカって言ったげるよっ!」
「!!!」




ブチ切れたの迫力に圧倒されて動けない一角と弓親を残し、十番隊の隊長と末席が対等に怒鳴りあいながら 足早に去っていった。



「・・・・ありゃぁ・・・痴話喧嘩か?」
「そうみたいだね。・・・・・潔く諦めた方が美しいかな・・・?」
「・・・・・諦めの悪いのも十一番隊らしさだぜ・・・・」


一角が自嘲ぎみに笑った。






十番隊執務室に戻った隊長と末席隊士は、無言で後片付けにとりかかったので 案外さっくり仕上がった。


――――ほーんと、なんもわかってないんだからっ!


は 掃除道具倉庫に箒やバケツを片付けながらため息をついた。


――――クリスマスソングもイルミネーションも無く、ツリーもケーキも無い。ソウルソサエティ、それも瀞霊廷なんかにサンタが来るなんて思えないしぃ・・・・


いつもの年の友人とのクリスマスパーティや、家族と飾ったツリーが目に浮かんだ。


―――――今まで生きてきて、サイッテーのイヴだ。


倉庫の扉を バタンと閉じた。


「仕舞いだな。」
「え?」


振り返ると日番谷が立っていた。


「じゃ、行くぜ。」


その言葉と共に、肩にを担いだ。


「ちょっとぉ〜、またぁ〜?」
「仕方ねーだろ?」
「はいはい、あたしは まだ 瞬歩が使えませんよっ。」


日番谷が タンッと地を蹴った。


「どこ連れてく気? パーティ会場行くのに ここまで遅れたら 少々急いだって あんま変わんないと思うよ。」
「現世だ。」
「現世??」
「ああ、さっき申請許可をねじ込んできた。」
「あ・・・・それで・・・・」
「クリスマスイヴってーのがどういうものか、書物だけではわかんねーから視察に行く。案内しろ。」
「冬獅郎・・・・」
「隊長だ。」














翌朝、十番隊執務室に含み笑いを浮かべながら湯飲みを持って日番谷の机に近づく乱菊の姿があった。


「隊長ぉ〜、昨夜のパーティに来られませんでしたねぇ。と二人、ドコ行ってらしたんですかぁ?」


日番谷は、乱菊が机に置いた湯飲みを手にとり 一口お茶を飲んだ。


「現世視察。」
「視察?」


日番谷は 出そうになった欠伸をかみころした。


「あいつの実家で 現世で意味するところのクリスマスイヴってーのを見させてもらってきた。」
「え?」
「影武者の改造魂魄と入れ替えさせて・・・・一晩・・・・家族と過ごさせてやった。」
「それって、危険じゃ・・・・」
「だから、オレは 結界張って、戸外で――――」「一晩中見張りをなさってたんですか?」
「まあな」


日番谷は不機嫌そうに応えると 大きな欠伸をした。


「隊長ぉ・・・」
「なんだ?」
「あの・・・手首の組紐はなんなんですか?」
「これは、“ミサンガ”って言うらしい。」
「みさんが?」


日番谷が眠気に負けて机に突っ伏した。


「・・・・に・・・もらっ・・・・・・」


言葉が小さくなって、安らかな寝息に変わった。
乱菊は、いつも自分が昼寝に使っている毛布を日番谷の背にかけるとにっこり微笑んで執務室を出た。









 




劇場版2「The DiamonndDust Rebellion 〜もう一つの氷輪丸〜」!
初日、初回(舞台挨拶無しなんだけど)で見てきました!!
冒頭から、萌えっぱなしで悶え苦しんだ柚羽でございます。
ネタバレになるので、多くは語れないけど至福の時を過ごさせていただきました♪
東宝さんと久保先生に大感謝☆
毎冬、冬獅郎の映画をするってコトになんないかな・・・


で、私めのクリスマス短編夢もぎりぎり間に合ったわけですが、如何でしたでしょうか?
寡黙で誤解されやすい男らしさに注目してみました。
すっごい愛されてるのに分かってなかったのは、さんでしたね。
冬獅郎も一言説明してくれれば、イライラすることもなかったのに。
言葉は、大事です。


読んでくださった皆様に幸せなイヴの夢を☆


Merry Christmas!




そして 不運の一角にも愛を(笑)


2007.12.24



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