そこに立っていたのは、ノックをする前に開いたドアに驚き顔の弓親と一角だった。
「やっぱり・・・・」
が ため息をついた。
「、大丈夫か? なんか やらしいコトされて――――」 「ばかっ!」
は、顔を覗き込んだ一角の鼻っ面に思いっきり平手打ちをお見舞いした。
「なにしやがるっ! 人が心配して助けに来てやったってのに!」
「隊長は そんなコトしないっ! あんたと一緒にするな!」
「けど、なんからしくねーぞ?」
は くるっと回って 二人に背を向けた。
「別に。いつもとおんなじだし。」
「いや、違うね。」
今度は弓親が 前に回りこんでの顔を覗き込む。
「どうしたの?」
「弓親さん・・・・」
――――クリスマスイヴなのに、デートに誘ってくれないどころか 掃除も手伝わずにどっか行っちゃったバカチビにムカついてるなんて、言えない。
あんなでも、一応“たいちょー”だしぃ。
「なんでもないっ。なんでもないからっ!」
は 雑巾がけを再開した。
「そんなの明日やりゃいいだろ? もうすぐクリスマスパーティだっつんで、仕事なんて真面目にやってる奴ぁいねーぜ。」
「ちゃん、パーティーには行かないつもり? 他に用でも?」
「俺ぁ、が行かねーなら、パーティーなんてどうだっていいんだ。むしろ 二人っきりで逢引ってーのがいいよなぁ。」
「一角!それなら ボクも一緒に行くからねっ。」
「なんでぇ、弓親。人の恋路を邪魔すんなよ。」
「その発言は、そのままそっくりお返しするよ。一角は 副隊長に遊んでもらってればいいよ。」
「あんだと、こるぁ!」
「うるさいっ!」
は二人に乾いた新しい雑巾を投げつけた。
「手伝え!」
「「・・・・・・・」」
「あたしが濡れ雑巾で拭いた後を 乾拭きするっ。そしたら 早く終わるでしょ?パーティーに行くか行かないかは それから!」
―――――もう・・・・。冬獅郎がコレくらい積極的ならいいのに。
弓親と一角は、の剣幕に 驚いて顔を見合わせた。
「ど・・・どうするよ?」
弓親は 苦笑しながら肩をすくめて見せる。
「ボクは ちゃんのコト好きだからね。彼女の為なら 汚れ仕事も喜んで引き受けるよ。」
そう言って、窓を乾拭きし始めた。
「けっ。何 カッコつけてやがんだ。こんなの汚れ仕事でもなんでもねーよ!」
一角もサイドボードを拭き始めた。
もくもくと手伝い始めた弓親と一角の後姿がかわいく見えて、の頬が幾分緩む。
―――――十一番隊は 大掃除してないのかな?
黒く汚れた雑巾を バケツでゆすいで 固く絞った。
―――――そういや、あいつ あんな事言って・・・・パーティーには来ないつもりかな・・・・
「―――――パーティー行くのやめて、ボクとデートしようよ。」
絞った雑巾を握り締めたまま ぼんやりしゃがみこんでいたの傍らに いつのまにか弓親が寄り添っていた。
「え?」
弓親が にこにこしている。
「実は、とっておきの料亭に 個室をとってあるんだ♪」
「個室?」
「ちょっと、待て。なんの話だ?ああん?」
「悪いね、一角。彼女は一人。キミと半分ってわけにいかないんだ。」
「てめぇ、そう言われて『ハイ、そうですか』て 引き下がるバカはいねぇだろ!?」
意外にも真面目に拭き掃除に没頭していた一角も、さすがに弓親の言葉の意図に気付いて薄ねず色に変わった雑巾を隊長の机に投げ出した。
「たとえ弓親だろうと 抜け駆けは許せねーな。」
一角は凄い形相で友の顔を睨んだ。
「抜け駆け? とんでもない。正当に申し込んでるだけじゃない?」
「へぇ、そうかい? 正当にねぇ・・・・」
「やめなよ、二人とも! 鬱陶しいんだよ。もめるなら、よそでやれっ。」
はバケツを持って立ち上がると、弓親と一角をおいて執務室を出ようとした。
「っ!」
「なに?」
「クリスマスパーティとやらに 行きてーか?」
「・・・・・別に。もう、どうでもいいや。」
冬獅郎が居ない所為で 投げやりな気分になっていた。
「だったら、ボクらのどっちかとのデートでも構わないんだね?」
「う・・・・ん・・・・手伝ってもらったし、それでいいよ。」
「よっしゃぁ!!」
「じゃ ちゃん、ボクと一角のどっちとデートする?」
「って・・・なに?一角か弓親さんか、選べってコト?」
弓親がにっこりと、一角はにやりと、並んで笑いかけた。
「一角か・・・・弓親さんか?」
二人の顔を交互に見る。
「――――面倒くさい。」
「「え?」」
「二人で決めてよ。あたし、雑巾洗って片付けてくるから。」
バケツを手に執務室を出て行くの後姿を 呆然と見送る弓親を尻目に 一角の行動は素早かった。
気付いた時には、は一角に抱きかかえられていて、十番隊隊舎から遠ざかっていた。
「一角!!」
「先手必勝。オレは十一番隊だぜ。受身ってーのは性に合わねぇ。弓親には悪いが、奪ったもん勝ちってもんだ。」
「こらっ!あたしには、悪くないのか!」
「ああ、オレはお前を手に入れたい。お前が日番谷隊長に惚の字ってのは 知ってる。」
「な//////」
「ウチの隊長はじめ、他にもお前を狙ってる奴が少なくないコトも知ってんだ。」
を抱く腕に力が こもった。
「のんびり指を加えて待つなんて できねーんだよ。」
「なに、勝手なコト言って――――」 「覚悟決めろよ。助けは来ねーぜ。」
黄昏の瀞霊廷を瞬歩で駆ける。
「弓親にゃ、追いつけねーからな。」
「バカ言ってないで離せっ!」
一角の逞しい腕の中では もがいた。
「マジで嫌なら、流転の力を使って逃れてみろよ。」
「!」
「オレは、もう一つ気付いてる。」
一角の部屋の前に到着して、やっと下ろされた。
「お前・・・・オレのコト、まんざらキライでもねーだろ?」
カーッとの顔が赤くなった。
「な、、、なに、調子ぶっこいてんだっ!」
一角を狙った平手が空をきる。
一角が不敵な笑みで返す。
「どうした?そんなんで オレが引くわけねーだろ? もっと本気で拒めよ。もっとも、オレは負けねーけどな。」
一角が改めてを抱き寄せた。
「欲しいモノは、力ずくで手に入れる。そいつが オレのやり方だ。」
あああああああああ
前にも こんなことあったぞっ。
前後編で サクッと終わろうと思ってたのに、弓親と一角がしゃしゃり出てくると居座ってしまって 冬獅郎が出て来れなくなっちゃうんだ。
しかも、一角 暴走モードはいっちゃったし。
『柚羽ってば まさか、一角のこと・・・・・』
ないないないない!! それは、断じてないぞぉー!
後半に 続く!
(・・・・・イヴまでに、仕上がるのか?)
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